2013年6月5日水曜日

どうしてプロダクトタンカー市況が元気なのか?

日本海事新聞 2013年6月5日
 プロダクト(石油製品)タンカーの新造発注が止まらない。先週1週間でLR(ラージレンジ)2型、MR(ミディアムレンジ)型、ハンディ型など計22隻の成約が表面化した。その結果、2013年のプロダクト船新造発注は1-5月で83隻となり、100隻の大台突破が視野に入ってきた。発注している船主はギリシャ系、受注している造船所は韓国が中心。プロダクト船市況の回復・上昇見込みを背景に新造発注はブームの様相を呈してきた一方、発注残拡大が市況好転に悪影響を及ぼしかねないとしてタンカー関係者の間には警戒感が広がっている。

 日本の大手造船がLNG船の受注に躍起になっている間隙を縫って、韓国の大手造船はプロダクトタンカー好況の恩恵を受けているようです。どうしてプロダクトタンカー市況が急回復を見せているのか?理由は簡単で、世界経済の原則もひとつの理由ですが、それと同時に先進国の環境規制が規制強化の傾向にあり、精製能力が産油国にシフトしているためです。だから原油を運ぶ必要性が低下し始めており、このことはクルードオイルタンカー市況の低迷とも深く関係してます。

 ただし、上の記事の通り新造発注が止まらず、プロダクトタンカー市況の回復に黄色信号が点ってます。更に一部のプロダクトタンカーは市況が悪化すればケミカルタンカー市場に流れ込んでしまうため、ケミカルタンカー市況にも悪影響をおよぼす可能性もあります。しかもプロダクトタンカーはLNG船よりも工期が長く付加価値が低いため、市況の悪化が急激に起こる可能性があります。シェールガス革命と先進国の環境志向、LNG船と共にプロダクトタンカーが「原油が売れない時代」の主役なることは間違いありませんが、今から後ろを追いかけていくのは危険かもしれません。