2013年7月2日火曜日

投機マネーはいつも「轟音を立てて」引き上げる

 投機マネーは限られた地域に集まり、投機マネーが集まった地域ではバブルの膨張と崩壊が起こるものです。その歴史を遡ると、遥か昔、ルネサンス華やかなりし14世紀のジェノバやフィレンツェ、ヴェネツィアにたどり着くとブローデルさんという偉い経済学者が言いました。当時のイタリアには既に活発な証券市場があって「未来の価値」が活発に取引されていました。しかし盛期ルネサンスと呼ばれるイタリアバブルはローマ略奪によって弾けます。戦争の終結がしばしばバブル崩壊を引き起こす歴史はここから始まった・・・と言ったら、ちょっと言い過ぎかもしれませんが・・・

 じゃあ最初の近代的株式市場はどこで生まれたのでしょう?これは有名な話ですが、答えは17世紀のアムステルダム。「チューリップバブル」という言葉を聞けばピンとくるひとも多いかと思いますが、このとき私たちの知っている様な爆発的な信用膨張を伴う「バブルの狂乱」の歴史が始まったといわれています。チューリップバブルが「轟音を立てて」崩壊すると、18世紀はパリとロンドンの時代。19世紀になってもロンドンの時代はしばらく続きましたが、20世紀に入り第一次大戦頃からものすごい勢いで米国に流れ込みました。その間、日本の高度経済成長で一時的に日本に集まった時期もありました。しかし総量規制を皮切りに平成バブルが崩壊するとまた「轟音を立てて」投機マネーは米国に引き上げていったのはご存知のとおりです。

 そして21世紀。初めの10年間はどうやら中国の時代でした。しかし10年かけてゆっくりと中国に集まった投機マネーは、皆さんもご存知の通り、今「轟音を立てて」米国に引き上げています。リーマン危機後に株式市場が崩壊してからも、不動産バブルは膨張を続けていました。平成バブルの日本を思い出してみたらわかりやすいでしょう。当時、銀行が表立って不動産投資に融資するわけにはいかなかったため、旧住友銀行を先頭に日本中の銀行が協力預金やノンバンクを利用した迂回融資を行ったのでした。株式市場の崩壊後、これと同じことを政府と民間がグルになって大規模にやってきたのが中国です。

 その後日本はどうなったかは先に書いたとおりです。しかし中国は日本の高度経済成長とバブル崩壊をよく研究しているので、「日本と同じ過ちを繰り返さない」はずです。でもそれが「日本とは違う過ちを起こす」という意味しかもたないことに、それほど遠くない未来に「優秀な」中共の官僚たちも気づくことになるはずです。日本や米国への影響は?当然大きな影響があるでしょう。中国経済が躓けば一時的に市場は大パニックに陥るはずです。しかし、その後はわかりません。ただ、平成バブルが崩壊した直後から日本経済は長期低迷に陥りましたが、それとは対照的に米国ではITバブルに向かっていったことは憶えておくべきでしょう。