2012年8月30日木曜日

コモディティバブルの終焉は間近…?

つい一週間くらい前まで「ユーロ危機やらソブリン危機やら先の見えない時代だから、信じられるのは現物しかない。だから資源国通貨が買いだ!」とまことしやかに言っている方々がたくさんいたのを、みなさん、憶えていらっしゃるでしょうか?そんな話を信じてオーストラリアドルを買っていた方々は、オーストラリアの7月住宅建設許可件数をどんな気持ちで聞いたのでしょう。

ここ十年来のコモディティバブルは、原油高以外は明らかに中国の莫大な需要に後押しされたものでした。2009年に一時的に減少しましたが、その後は盛り返し、再び資源需要が拡大を続けていました。それが証拠に、2010年、2011年と中国のPPI(生産者物価指数)は高い伸びを示しています。これは、株安と4兆元景気刺激策によって溢れ出た資金が不動産にまわり、不動産バブルが促成されたためです。結果、不動産バブルによって鋼材等の需要も拡大し、コモディティバブルは延命、資源国通貨は息を吹き返したのでした。

ところが、今年に入って状況は一変しました。
日本にいると中国の不動産バブルがどうなったのか、なかなか聞こえてきませんが、指標は正直です。2012年になると中国のPPIの伸びはマイナスに転じました。これは中国における資源需要の低下を如実に表しています。結果、中国国内の製鉄会社全体の上期利益は前年同期比96%減になり、成長率は8%を大きく下回りました。

中国の産業界の現状は悲惨です。成長よりも支払金利が大きくなり、再投資が滞り始めています。また、中国の民営企業は一般に銀行から資金調達するのではなく企業間貸借により資金調達をするのですが、どこも資金繰りが悪化したため企業間貸借の焦げ付きでいつ連鎖倒産がおこってもおかしくない状態です。

さて、コモディティバブルの終焉は間近なのでしょうか?少なくとも、中国は一度清算を迫られています。しかし温家宝さんは問題を先送り先送りにしてきました。李克強さんは、やがて不動産バブルの清算と人民元改革に手を付けるか、さもなくばコモディティバブルは暴走してもはや手を付けられなくなるかのいずれかでしょう。