2012年8月26日日曜日

私が海運株を買えない理由

今は一株も持ってませんが、私が一番好きなのは海運株です。
海運株では株初心者の頃からたくさん勝たせていただきました。

そしてその海運株は今歴史的な安値に突入しています。

歴史上、海運不況が起こる原因は大きく2つに分けられます。
1.急激な円高
2.船の需給バランスの崩壊
1980年代の海運不況はプラザ合意後の急激な円高が最大の要因です。
また20世紀初頭に起こった二回の海運不況は、日露戦争や第一次大戦時に民船徴用で需要が増えて
船を建造しすぎた反動が最大の原因だと言われています。
では、現在の海運不況の原因は何でしょう?



ひとつは、もちろん急激な円高が原因です。
だからみんな、他の製造業と同じように
「円高が解消されれば海運不況はかなり解消される」
と口をそろえて言ってます。それはある側面で間違いないでしょう。

でも、円高だけがすべての問題じゃありません。
円高だけではバルチック海運指数がこんな異常な安値をつけてるのが説明できません。
http://www.dryships.com/pages/report.asp
明らかに船が余ってます。
中国バブルの時に船を造りすぎたにもかかわらず、
頼みの綱の中国では需要が大きく低下してしまったため
需給バランスが大きく崩れてしまったのです。
これはなかなか解消されません。
おそらく景気刺激策が効いて中国で多少需要が増えるでしょうが、
2011年以降に完成した新造船がキャンセルされて新興国に新古船として安値で大量に出回ったため、長期に渡り恒常的な安値が続いてしまう可能性があります。
過去の歴史に照らせば、受給バランスが崩れれば船会社の統廃合や倒産が進みます。
これに原油高が追い打ちをかけ、未曽有の海運不況に・・・?
シリアやイランがくすぶっている間は原油高もなかなか収まらないでしょうから、
コスト増と需要減、しかも為替高で苦しい時代が数年は続くでしょう。

それでも、これだけ安くなると買いたくなるのも人情。
じゃあ、もし買うとしたら?ビッグ3だったらどこを買うべきか?

・日本郵船
・商船三井
・川崎汽船

日本郵船(9101)はちょっと高いですが、絶対に潰れることはないでしょうから
ここから下げてもそれほど大きく下げることはないでしょう。
でも上値の方も限定的であんまり面白くありません。

商船三井(9104)は中国バブルのときバルクキャリアを集中的に建造したので
海運不況の影響が直撃しているはずです。
にもかかわらずこの程度で済んでるのは経営の舵取りが良いからでしょう。
それでも海運不況が長引けば間違い無く一番大きな影響を受けることになります。
とはいえ125円くらいまで株価が下がったら多分買ってしまいますが・・・

川崎汽船(9107)はビッグ3の中では一番決算が悪かったため、印象も株価もよくありません。
しかし、川崎汽船の主力はバルクキャリアではなくコンテナ船であり、
中国バブルの際にコンテナ船はバルクキャリアほどは建造されてないので
海運不況からいち早く脱出するのではないかと私は予想しています。