2013年7月2日火曜日

投機マネーはいつも「轟音を立てて」引き上げる

 投機マネーは限られた地域に集まり、投機マネーが集まった地域ではバブルの膨張と崩壊が起こるものです。その歴史を遡ると、遥か昔、ルネサンス華やかなりし14世紀のジェノバやフィレンツェ、ヴェネツィアにたどり着くとブローデルさんという偉い経済学者が言いました。当時のイタリアには既に活発な証券市場があって「未来の価値」が活発に取引されていました。しかし盛期ルネサンスと呼ばれるイタリアバブルはローマ略奪によって弾けます。戦争の終結がしばしばバブル崩壊を引き起こす歴史はここから始まった・・・と言ったら、ちょっと言い過ぎかもしれませんが・・・

2013年6月5日水曜日

どうしてプロダクトタンカー市況が元気なのか?

日本海事新聞 2013年6月5日
 プロダクト(石油製品)タンカーの新造発注が止まらない。先週1週間でLR(ラージレンジ)2型、MR(ミディアムレンジ)型、ハンディ型など計22隻の成約が表面化した。その結果、2013年のプロダクト船新造発注は1-5月で83隻となり、100隻の大台突破が視野に入ってきた。発注している船主はギリシャ系、受注している造船所は韓国が中心。プロダクト船市況の回復・上昇見込みを背景に新造発注はブームの様相を呈してきた一方、発注残拡大が市況好転に悪影響を及ぼしかねないとしてタンカー関係者の間には警戒感が広がっている。

 日本の大手造船がLNG船の受注に躍起になっている間隙を縫って、韓国の大手造船はプロダクトタンカー好況の恩恵を受けているようです。どうしてプロダクトタンカー市況が急回復を見せているのか?理由は簡単で、世界経済の原則もひとつの理由ですが、それと同時に先進国の環境規制が規制強化の傾向にあり、精製能力が産油国にシフトしているためです。だから原油を運ぶ必要性が低下し始めており、このことはクルードオイルタンカー市況の低迷とも深く関係してます。

2013年6月3日月曜日

去年10月の白川貸出増加支援制度が日本版サブプライムバブルの呼び水になる かもしれない

長期金利は一段高となり、金利は上昇局面にあります。それに合わせて住宅ローンの固定金利も先月くらいから急上昇を始めました。こういった局面で銀行は変動金利をすすめてくるものです。

住宅ローンには(ある程度までは)貸し出しが貸し出しを生む様な性質があるそうです。貸し出しが増えれば増えた分だけ住宅の需給が逼迫する。すると住宅価格も上昇基調になるので住宅の需要がさらに増え、住宅ローンの需要も増えるので金利が上昇する。そうなると早めに借りて早めに買っておこうとする判断が働くので、ますます貸し出しが増えて、住宅価格も住宅ローン金利も上昇を続ける・・・ただし、住宅の需要には上限があるので、変な買い圧力が働かなければいずれ頭打ちになります。ところが、変な買い圧力が発生すると一気に住宅バブルまで雪崩れ込んでしまうことがあります。


2013年4月30日火曜日

iPS研究者のみなさんも気にしてる?!日本版NIHがバイオ業界に及ぼす影響

先日、iPS研究の公開シンポジウムに行ってきました。政府肝いりのプロジェクトだけあって、私の専門分野とは比較にならないスゴイ賑わい、しかも報道のカメラや記者さんまで聴きにきてて、立ち見御免の大人気シンポジウムでした。

そんな中私はというと、実はあんまり興味がなかったのですが、ちょうど有給とって遊びに行く途中の駅近くが会場だったので、知り合いにお願いして申し込みしてもらいました。投資のネタを探しに…結果からいうと、ひとつも投資のネタになりそうな話はありませんでしたが…(笑)

でもそんな中で、研究者さんたちがすごく気にしていた話題があります。それが「日本版NIH」の話。

2013年4月27日土曜日

バブルは必ずやってくる、それだけは断言できる

「日本株は5合目を過ぎたと思う」

最近、とある個人投資家のスカイプ友達と久々にお話をしたのですが、そのとき彼は上のようなことを口にしてました。今時分に5合目過ぎたなんてわりと悠長だなあと思いつつ、いろいろ話をしてみたら意外と意見が合ってビックリ。

まず第一に彼もかねがね「金融緩和のみでもドル円100円、日経平均13000円は一瞬で届く」と言っていたこと。私自身もみんかぶで去年の9月26日の日記のコメントに対するリプライで、自信なく書いてます。当時こんなことを言うと頭がおかしいと思われましたが(彼はお構いなしで言ってましたが)、今これをバカにするひとは一人もいません。だって、ホントにそうなっちゃったから。

第二に、黒田総裁を含む安倍政権が金融と外交の舵取りを間違えなければドル円の目処は福井レートの110円で、その場合の日経平均は2007年の18000円が峠になるという話。米経済が堅調であることが必要条件ですが、安倍さんがミスをしなければその辺までは行くのではないかと。そこまでは「バブル」ではなく必然という点でも同意見でした。

2013年4月15日月曜日

映画「クラウド アトラス」を観てなぜか号泣

今日はウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァの共同監督映画「クラウド アトラス」を観てきました。(日記風の書き出し)


噂通りの複雑な映画(※私にとっては)で、開始10分で「今日疲れてるし、メンタルもかなり不健康だから集中できないし・・・英語も字幕も頭に入ってこない・・・これが160分以上続くとか無理かも・・・」と不安になる出だし。6つの時代がまるでコラージュの様に次々と現れては消え、未完成なトレーラーを観てる気分でした。噂では「絶対に原作読んで観た方がわかりやすい!」らしいのですが・・・映画のために小説を700ページも読む気はしないので当然予習なし・・・正直この時点では、別の映画にしとけばよかったとちょっと後悔。

2013年4月12日金曜日

乾新悟・乾汽船社長/ノンアルコールデー150日目指す

日本海事新聞 2012年4月12日(火)
 2001年6月の就任から13年目を迎えた乾新悟・乾汽船社長。
 「不況の地獄を2回、好況の天国を1回、経験しました。あと1回ぐらい天国があればいいのですが」と笑顔で語る。
 毎年、年初に金融機関各行を訪問した際に受けた印象で1年を占うという。今年は人出が多く、人々の表情も朗らかで「暗かった昨年と大違い」だった。昨年末の政権交代以降、「空気が変わっているのを感じた」と話す。
 ただ、「まだ実体はなにも良くなっていない。厳しい環境が続くかもしれない」と気を引き締める。難局下で海運のトップにかかる重圧は大きい。最近、体調管理を目的に酒を控えており、昨年はノンアルコールデー120日を達成。「今年は150日を目指します」と宣言していた。


 9日に、「ハンディマックスとハンディサイズを何隻か新造用船する」と乾社長が言ってました。運賃市況はまだまだひどい状態ですが、乾社長の読みとしては「バルカーは世界的な船腹過剰だけど、酷いのは主にケープやパナで、中小型バルカーはそこまで悪くない。しかも世界のハンディサイズの大半は船齢が15年以上で廃船が近い。バラスト水管理の新条約に引っかかる旧船は半強制的に廃船になる。たとえ廃船しなくても燃費が悪い。底値の今のうちにエコシップを確保しておくかどうかが今後15年を分けることになる。」ということだそうです。なかなか面白い話でした。それに、上の記事にある様に肌で感じた「空気が変わっている感じ」はとても重要です。
 中国発の「好況の天国」のとき、本当に素晴らしい舵取りで乾汽船は商船三井と共に最高のパフォーマンスを上げました。そして今は未曾有の「不況の地獄」ですが、この地獄をどう乗り切るかで若社長の真価が問われるでしょう。乾新悟社長はまだ42歳と若いしいわゆる世襲社長ですが、もしかしたらなかなかの傑物かもしれません。長く経営に携わるためにも今年もお酒はほどほどにして、15年後には大社長になっていてほしいなあ。

2013年4月9日火曜日

止まらないバルカー新造発注/13隻成約が表面化。ケープ8隻、供給過剰再び危惧

日本海事新聞 2012年4月9日(火)
 バルカーの新造発注が止まらない。先週1週間で13隻の成約が表面化した。そのうちケープサイズが8隻を占め、ケープサイズ新造発注隻数が顕著に積み上がっている。近い将来のドライ市況回復をにらんだ新造発注とみられるが、発注が積み上がれば市況回復の足かせとなる可能性が高まる。ドライバルク関係者の間では、投機発注を危惧する声が次第に強まっている。

 タンカー王のジョン・フレドリクセンは去年の中頃に大量の海洋石油プラットフォームとLNG船を発注して話題になりましたが、今度はケープサイズバルカーを底値で拾おうと画策しているみたいです。他にも、ケープサイズをはじめバルカー新造の受注を造船各社が受け始めているという話を最近よく耳にします。しかも、去年末まではハンディサイズやハンディマックスが中心でしたが、ここにきてケープサイズの発注が積み上がってきているのが特徴的です。これらの発注は15−16年の船台に対して発注されているようなので、新造船を今発注しておけば竣工する頃には運賃市況は持ち直して損益分岐を超えている可能性が高いです。

 もう一つ注意しなければいけないのは戦争が起こるか起こらないか。中国は今のところ国内に大量の鉄鉱石と鋼材の在庫を抱えており、これが経済成長の足を引っ張っています。少なくとも習近平自身は北朝鮮の不安定化を望んでいないはずですが、大規模な戦闘が起これば中国はだぶついた鉄を一掃できる上、過剰になった生産力も回りだします。すると原料輸送が活発になるためケープサイズの船腹が不足し、運賃上昇で更にケープが生産されるため鉄が不足するといったサイクルが生まれるでしょう。しかも造船やハイテク産業ではライバルの韓国が機能不全に陥るので、凄まじい特需が中国に降ってくることになるでしょう。もしかしたら、そういった筋書きも既に想定されているかもしれないので、「今回もまた弱い犬が吠えている」と一笑に付すのは危険かもしれません。

2013年4月7日日曜日

海運大手/3年8カ月ぶり円安水準。損益改善効果200億円超

日本海事新聞 2012年4月8日(月)
5日の東京外国為替市場の円相場は、円売りが加速し為替は一時1ドル=97円台と2009年8月以来、3年8カ月ぶりの円安水準となった。日本銀行の金融緩和を受け、円売り・ドル買いが進んだことが主因。海運大手の2013年1-3月期の各社前提に比べ足元の為替は8-11円の円安。今後も円安が定着すれば今期は海運大手3社で前期比200億円超の損益改善効果につながる。一方、海運株は一部買われたものの、値下がり銘柄もあるなど、大幅続伸した日経平均に比べ伸び悩んだ。 

ちなみに為替前提は日本郵船が87円、商船三井が88円、川崎汽船が85円と、現在の為替水準1ドル=96〜97円と10円前後のひらきがあります。日本の外交海運はドル収入が8割前後を占めますので影響は甚大です。ただし、営業損益が赤字の船社ではむしろ円安がマイナスの影響を与える可能性もあり得るので注意が必要です。

「第二次朝鮮戦争」は本当に長期化しないのか?

巷では、韓国と北朝鮮が戦闘を再開するのではないかという物騒な噂が流れています。

戦争は兵士のみならず民間人の命も奪われる可能性が常につきまとうもので、あらゆる外交手段を講じて回避するべきもの、望むべきものではなく忌むべきものです。実際、オバマさんも習近平さんも「第二次朝鮮戦争」の勃発は望んでいませんので、外交での解決に努めるでしょう。しかし、だからといってそれは戦争にまつわるリスクに備えなくてよい理由にはなりません。北朝鮮の行動は日に日にエスカレートしており、韓国への攻撃に至れば否が応にもアメリカはこの戦争に巻き込まれてしまいます。戦争の起こる可能性が高まっているのならば、投資家はその戦争に向けてどう動くべきか予め考えておくべきでしょう。