2013年4月9日火曜日

止まらないバルカー新造発注/13隻成約が表面化。ケープ8隻、供給過剰再び危惧

日本海事新聞 2012年4月9日(火)
 バルカーの新造発注が止まらない。先週1週間で13隻の成約が表面化した。そのうちケープサイズが8隻を占め、ケープサイズ新造発注隻数が顕著に積み上がっている。近い将来のドライ市況回復をにらんだ新造発注とみられるが、発注が積み上がれば市況回復の足かせとなる可能性が高まる。ドライバルク関係者の間では、投機発注を危惧する声が次第に強まっている。

 タンカー王のジョン・フレドリクセンは去年の中頃に大量の海洋石油プラットフォームとLNG船を発注して話題になりましたが、今度はケープサイズバルカーを底値で拾おうと画策しているみたいです。他にも、ケープサイズをはじめバルカー新造の受注を造船各社が受け始めているという話を最近よく耳にします。しかも、去年末まではハンディサイズやハンディマックスが中心でしたが、ここにきてケープサイズの発注が積み上がってきているのが特徴的です。これらの発注は15−16年の船台に対して発注されているようなので、新造船を今発注しておけば竣工する頃には運賃市況は持ち直して損益分岐を超えている可能性が高いです。

 もう一つ注意しなければいけないのは戦争が起こるか起こらないか。中国は今のところ国内に大量の鉄鉱石と鋼材の在庫を抱えており、これが経済成長の足を引っ張っています。少なくとも習近平自身は北朝鮮の不安定化を望んでいないはずですが、大規模な戦闘が起これば中国はだぶついた鉄を一掃できる上、過剰になった生産力も回りだします。すると原料輸送が活発になるためケープサイズの船腹が不足し、運賃上昇で更にケープが生産されるため鉄が不足するといったサイクルが生まれるでしょう。しかも造船やハイテク産業ではライバルの韓国が機能不全に陥るので、凄まじい特需が中国に降ってくることになるでしょう。もしかしたら、そういった筋書きも既に想定されているかもしれないので、「今回もまた弱い犬が吠えている」と一笑に付すのは危険かもしれません。