2012年9月1日土曜日

まさかの首都直下型地震リスクヘッジ株の投資判断

ゼネコンの株価は平成バブル崩壊以来長期の低迷状態にある。3.11以降一時的にいくらか盛り返したものの、最近になって再び3.11以前の水準にまで値を戻そうとしている。

しかし個人的には、優良ゼネコン株の保有は、可能性が示唆されている南海トラフや首都直下型の地震が起こった際のリスクヘッジにもなるのではないだろうかと考え始めている。

また、2020年夏季オリンピックの開催国を決めるIOC総会を一年後に控え、東京オリンピック開催の可能性を見据えて安値で買い叩けるゼネコン株を一銘柄くらい持っておくのも悪くないだろう。現状ではイスタンブール開催が濃厚ではあるが、メダリスト銀座パレードに50万人もの観衆が集まったのを見てからというものその考えをさらに強くした。

そこで、これまでゼネコン株にはほとんど注目して来なかったが、スーパーゼネコンから中小地方ゼネコンまで経営・財務・指標を概観し、購入に価する銘柄を抽出してみた。



まず、対象としたのは以下の41銘柄。参考までに予想PERとPBR、ROE、自己資本比率、および過去数年の決算を見た個人的な印象(S+, S, A, B, C, Dの6段階評価)をまとめた。

http://wyiyun.blogspot.jp/2012/09/blog-post.html

結果的に、大手ゼネコン株は散々である。少なくとも私ならば間違っても買いたくない状態の銘柄ばかりだ。中堅以下のゼネコンの中にもS評価以上の銘柄は無かったが、もしもの時のために持っていてもよいかな?と思わせる銘柄はいくつかあった。

今日は防災の日なので、その中から、東京直下型地震に対するリスクヘッジになりそうな銘柄を評価する。

<<東京直下型地震に対するリスクヘッジ銘柄>>
太平工業(1819)
新日鉄(5401)系列の中堅ゼネコン。プラント土木工事に特化しているが、トンネル等交通インフラの一般土木工事も手がける。
過去数年を見る限り恒常的にROE 10%前後を維持可能な体質だが、来年度はROE 5%程度になる模様。予想PER(7.29倍)、PBR(0.47倍)共に低水準なので買いやすい。ただし、新日鉄が生産設備の見直しで大幅減損を出していることを考えると、もう一段安になることは十分考えられる。現時点での最低投資金額は30万円前後。

東鉄工業(1835)
鉄道省の指示で設立された国策会社を礎とする中堅ゼネコン。特に線路事業に強みがあり、JR東日本管内の線路メンテナンスの3割を請け負う。また、耐震補強や防災関連にも強い。
事業内容的に収益性が高い。PBRは0.84倍程度と他のゼネコンより高めだが、PERは7.9倍と依然低水準。ROEは直近で9.56%で、過去数年を見ても同程度のROEとなっている。2011年初以来株価は約2倍と着実に上げている。今後も老朽化したインフラの置き換えや耐震工事等、需要の伸びが期待できる。唯一の難点として、事業所が首都圏に集中しているため首都直下型地震で壊滅的打撃を受けてしまった場合に取り返しがつかないことになる可能性がある。現時点での最低投資金額は9万円前後。

第一建設工業(1799)
鉄道施設の工事を中心とする地方ゼネコン。新潟に本社を置き、JR東日本管内の鉄道施設工事を請け負う。
PERが6.52倍、PBRが0.41倍と先の2銘柄と比較しても更に低水準である。ROEは6.62%と低めだが非常に安定している。株価は3.11でも25%程度しか動かなかった。現時点で株価が下げる要因はあまりないが、株価上昇は年平均+10%前後が精々か。現時点での最低投資金額は7万円前後。

近いうちに東京オリンピック関連銘柄についても評価予定である。