2012年9月11日火曜日

新興市場の成長銘柄に対する投資判断

投資の一番の醍醐味は、上場して日が浅く出来高の小さい銘柄に目をつけ、その将来性を見抜き、企業の成長とともにキャピタルゲインを得るところにある。みんかぶで有名な明かりさんがプロフィールに書いている「ソフトバンクを4450円で買って15万円で売った」という話などはその典型だろう。(※ちなみにイーユンもほぼ同時期にわけもわからずトランスコスモスという会社の株を買いましたが・・・これは単なるビギナーズラックです(笑))

そう考えたとき、投資家にとって「新興市場は宝の山だ」・・・と言いたいところだが、実際はゴミの山でしかない。しかし丹念に探せば、そのゴミの山の中にも宝かもしれない企業がいくつかある。今回は、そうした「宝かもしれない」企業の中から、ここ数年しっかりとした足取りで成長している以下の企業10社を取り上げて紹介したい。

対象企業:エムアップ(3661)、ベクトル(6058)、リニカル(2183)、ブレインパッド(3655)、リブセンス(6054)、メディア工房(3815)、さくらインターネット(3778)、エスクリ(2196)、トレジャー・ファクトリー(3093)、駅探(3646

【収益性ベスト5】・・・ROI(総資本経常利益率)の過去4年平均
1位 リブセンス(56%)

2位 リニカル(32%)
3位 駅探(25%)
4位 エムアップ(25%)
5位 ブレインパッド(20%)

【短期的安定性ベスト5】・・・営業CF対流動負債比率
1位 リブセンス(160%)
2位 リニカル(103%)
3位 駅探(103%)
4位 ブレインパッド(77%)
5位 エスクリ(57%)

【長期安定性ベスト5】・・・自己資本比率
1位 駅探(79.97%)
2位 リブセンス(79.59%)
3位 ブレインパッド(73.78%)
4位 エムアップ(60.48%)
5位 ベクトル(57.46%)

【値ごろ感ベスト5】・・・予想PER(2012/09/11)
1位 メディア工房(6.5倍)
2位 さくらインターネット(7.5倍)
3位 エスクリ(7.7倍)
4位 トレジャー・ファクトリー(9.0倍)
5位 駅探(9.1倍)

収益性、安定性共に特に優れているのはリブセンス、リニカル、ブレインパッド、駅探の4社である。リブセンスは収益性、安定性、共に軍を抜いて優れているが、PERが30倍以上と非常に高く既に多くの人に注目され買われていることがわかる。それに対してリニカルはPERが15倍以下で、マザーズ全体の地合いが悪くなって株価がいくらか安くなった場合には購入を検討する余地がある。また、次回業績予想に対する進捗状況も良好である。ブレインパッドもPERは20倍以下なので同様に地合いによる安値を期待することができる。駅探は、指標的には収益性、安定性共にリニカルと同程度でブレインパッドよりも優れているにもかかわらず、PERは10倍以下とまだまだ値ごろ感が強い。また、長期安定性を表す自己資本比率は対象10社中1位と、堅実で効率的な経営を行なっていることがうかがえる。ただし、次回業績予想が減益を予想しているにもかかわらず進捗状況が悪く、このことが最近の株価の低迷に影響していると考えられる。

【将来性の評価】
リブセンス(6054
インターネット求人情報サイト「ジョブセンス」「ジョブセンスLink」「ジョブセンス派遣」を運営する。その他、不動産情報サイト「DOOR賃貸」、中古車情報サイト「Motors-net」など求人以外の情報提供サイトにも事業領域を拡大し、プチリクルートの様な企業に成長しようとしている。今後はプチリクルートの方向性から脱却し、独自の成長戦略として消費者生成メディアやソーシャルメディアの分野で新サービス提供を志向している。その実証実験として、強みのある求人関連領域で「転職会議」を提供しており、十分な成果をおさめている。

リニカル(2183
製薬会社の医薬品開発における臨床試験の一部を受託する。フェーズIIおよびフェーズIIIのモニタリング、品質管理、コンサルティングの3業務を受託。成長戦略としては(1)がん分野への本格進出および(2)医薬品営業の受託の拡大を挙げている。平均年収は高めで、評判では社内の雰囲気もよいとのこと。ビジョンがしっかりしているので、経営方針さえ誤らなければ成長のポテンシャルは高い。

ブレインパッド(3655
自社開発のデータマイニング技術を利用して、効率的なマーケティングを行うなどビジネスをサポートするB2B企業。用途に応じた様々なデータマイナーを駆使したデータ分析により、業種を問わず多種多様な企業に向けてコンサルティングを提供できるのが強みである。売上構成もアナリティクス、ソリューション、ASP関連がそれぞれ3〜4割ずつとバランスが良く、いずれも市場の将来性が高い。自分たちの会社が堅調なので技術にも信憑性がある。社長(草野隆史氏)が好人物で社員の給与も悪くないが、かなりの激務らしく人材流出にやや不安がある。

駅探(3646
鉄道、バス、飛行機など公共交通機関の乗り換え情報を提供するウェブサイトを運営する。携帯電話向け有料サービスが最大の収益源。PCサービス利用者および携帯サービス利用者がスマートフォンで乗り換え情報を利用するようになってきたため、現在スマートフォン向けサービスへの誘導を進めている。しかし、有料会員の流出が続いており、収益性が低下し始めている。また、同一のサービスを提供する業者は増加傾向にあり、大手サイトとの提携、サービスの差別化、あるいは乗り換え情報以外のサービス提供など生き残り策を模索しなければ、今後も収益性の低下が進むと予想される。

(※リブセンスはこれを書いてアップロードしようか迷っている間に東証一部に上場が決定しました。おめでとうございます。)