2013年2月14日木曜日

VLCC市況が暴落、原油価格下落が起こりパワーバランスは大きく変化するかも?!

日本海事新聞 2012年2月14日(木)
 VLCC(大型原油タンカー)市況が暴落している。1月下旬以降、WS(ワールドスケール)30-32で推移し、用船レート換算で日建て0-2000ドルに低迷。新鋭船の標準コスト3万ドル台半ばを大きく下回り、スポット船の収益環境は最悪の状況が続く。中国が昨年11-12月に原油在庫を積み増した反動で、今年の旧正月(2月10日)前の駆け込みは不発に終わった。シェール革命の影響で米国が原油輸入を縮小していることも、中東周辺の船腹余剰感に拍車を掛けている。

 1月には中東-極東航路で高齢船の運賃がWS(ワールドスケール)で38.25(用船料換算で1万1000ドル前後)を付けたと大騒ぎしてましたが、ここにきて完全に「暴落」水準まで落ち込んでしまったようです。今年は春節前の駆け込み成約が無かったということで、オイルタンカーの運賃市況は異常事態になっているようです。中国の製油所が定期修理で止まっているため、春節明けには回復するだろう・・・という声もありますが、はたしてどうなるか。また、シェールガス&オイルブームが進むことでアメリカの原油輸入量は目に見えて減っているため中東でVLCCの船腹がだぶついているというのもあります。オイルタンカー輸送への依存度の高い業者にとってはしばらく苦しい時期が続きそうです。
 しかし、円安の進行や原発停止などで日本国内のエネルギー価格が高騰していますが、中東の原油に対する依存度が世界的に低下しつつあるというのは、これから景気回復をして再び成長していこうとする日本にとっては福音ではないでしょうか。また、第三世界とロシアの発言力の低下やアメリカの復権、経済の活性化に伴う極東・東南アジアの地位向上といったパワーバランスの変化にも今後注意していく必要があります。